はじめに
宅建業を営むには、「免許」が必要です。宅建の学習では、3記事目で扱った「宅建士(人の資格)」と並んで、「免許(業者の資格)」が業法の土台になります。
ところが、この2つは名前も役割も近いため、「免許は誰が受けるのか」「宅建士の登録と何が違うのか」が混同されがちです。この記事では、宅建業の免許について、誰が・どこから受けるのか、どんな基準があるのか、有効期間はどれくらいかを整理します。

免許は『会社(業者)』の資格、宅建士は『人』の資格。ここをセットで押さえると、業法がぐっと分かりやすくなりますよ!
そもそも「宅建業」とは
免許の話の前に、「宅建業(宅地建物取引業)」が何を指すかを確認します。宅建業とは、宅地・建物について、次の取引を「業として」行うことをいいます。
ひとつ、自ら売買・交換すること。
ふたつ、売買・交換・貸借の代理をすること。
みっつ、売買・交換・貸借の媒介(仲介)をすること。
ここで注意したいのが、「自ら貸借」は宅建業にあたらない、という点です。自分の物件を自分で貸すだけなら、免許は不要です。試験でよく問われるポイントなので、押さえておきましょう。

『自ら貸借』は宅建業じゃない=免許いらず!ここ、ひっかけで本当によく出ます。要チェックです。
免許は誰から受ける? ― 知事免許と大臣免許
宅建業の免許には、2種類あります。事務所をどこに置くかで、免許を出す人(免許権者)が変わります。
ひとつの都道府県内にのみ事務所を置く場合は、その都道府県知事の免許。
二つ以上の都道府県に事務所を置く場合は、国土交通大臣の免許。
ポイントは、「事務所の数」ではなく「事務所が複数の都道府県にまたがるかどうか」で決まることです。同じ県内に事務所が10あっても知事免許、別々の県に1つずつ2つあれば大臣免許です。
(※免許権者の区分の詳細は、配信年度の法令でご確認ください)
免許の有効期間
宅建業の免許には、有効期間があります。期間が満了したあとも引き続き宅建業を営むには、更新の手続きが必要です。更新の申請は、有効期間が満了する一定期間前までに行う必要があります。
(※免許の有効期間の年数、更新申請の時期は、配信年度の法令でご確認ください)
免許の基準(欠格事由)
誰でも免許を受けられるわけではありません。一定の事由に当てはまる人は、免許を受けられません。これを「欠格事由」といいます。
たとえば、一定の犯罪で刑に処せられた場合や、過去に免許を不正に取得して取り消された場合など、宅建業を任せるのにふさわしくない事情がある人は、一定期間、免許を受けられません。
欠格事由は試験で細かく問われる論点ですが、まずは「ふさわしくない人には免許を与えない仕組みがある」という全体像をつかんでおきましょう。
(※欠格事由の具体的な要件・期間は、配信年度の法令でご確認ください)
事務所には専任の宅建士が必要
免許を受けて宅建業を営む場合、事務所ごとに一定数以上の「専任の宅建士」を置かなければなりません。ここで、3記事目で扱った「宅建士」の話とつながります。
「免許(業者)」と「専任の宅建士(人)」は、セットで宅建業を支える仕組みです。業者として免許を受けるだけでなく、事務所には資格を持った人を置く必要がある、というわけです。
(※専任の宅建士の必要人数の基準は、配信年度の法令でご確認ください)
覚え方・暗記のコツ
最初に、つまずきやすい数字や結論をまとめて固定できる語呂合わせです。声に出して何度か読んでから、続きの理屈とセットで覚えると忘れにくくなりますよ。
まずは語呂合わせで数字を固定!
- 「またげばダイジン、おさまればチジ」…事務所が2つ以上の都道府県にまたがれば大臣免許、1つの都道府県内なら知事免許
- 「メンキョはゴネンでおかわり」…免許の有効期間は5年で、続けるには更新が必要
免許のポイントは、次の3つのコツで整理しましょう。
コツ1:「大家さんに免許はいらない」
「自ら貸借」は宅建業にあたらない=免許不要。これは「自分のアパートを自分で貸す大家さんに、宅建業の免許はいらない」という身近なイメージで覚えるのが一番です。問題文で「自ら所有する物件を貸す」場面が出てきたら、「大家さんに免許はいらない」と唱えましょう。
コツ2:「県内なら知事、またげば大臣」
免許権者の区別は、この一言に尽きます。事務所が1つの都道府県の中に収まっていれば知事免許、複数の都道府県にまたげば大臣免許。判断基準は「またぐかどうか」だけで、事務所の数は関係ありません。「同じ県に10事務所でも知事」「2つの県に1つずつでも大臣」——「数じゃなくて、またぎ」です。

コツ3:「免許も宅建士証も、有効期間はおそろい」
宅建業の免許の有効期間と、宅建士証の有効期間は、同じ年数(どちらも5年)でおそろいです。「業者の免許も、人の証も、おんなじ長さ」とセットで覚えれば、片方を思い出せばもう片方も出てきます。
(※有効期間の年数は、配信年度の法令で必ずご確認ください)

『大家さんに免許はいらない』『県内なら知事、またげば大臣』。この2つの合言葉、本試験でもきっと役に立ちますよ!
まとめ
宅建業の免許のポイントを整理します。宅建業とは、宅地・建物の売買・交換・媒介などを業として行うこと(「自ら貸借」は含まない)。免許は、事務所が一つの都道府県内なら知事免許、複数の都道府県にまたがるなら大臣免許。免許には有効期間があり、更新が必要。そして、欠格事由に当たる人は免許を受けられず、事務所には専任の宅建士を置く必要があります。
「免許(業者の資格)」と「宅建士(人の資格)」をセットで理解すると、業法の土台が固まります。あわせて、こちらの記事もどうぞ。
▶ 関連記事:宅建士(宅地建物取引士)とは?できること・なり方を完全整理
▶ 関連記事:「35条書面」と「37条書面」の違いを完全整理

お疲れさまでした!『免許』と『宅建士』がつながると、業法の全体像が見えてきますね。この調子で一緒にがんばりましょう!
※本記事は令和8年度(令和8年4月1日時点)の宅地建物取引業法に基づきます。法改正で内容が変わる場合があるため、最新の条文もあわせてご確認ください。

コメント